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税源浸食及び利益移転(BEPS)問題に対応するためのOECD行動計画13「多国籍企業の企業情報の文書化」を契機として、EUにおいては多国籍企業の情報開示の機運が高まり、欧州委員会は2016年4 月に会計指令(指令2013/34/EU)の改正案を発表しました。当該会計指令はEU域内で事業を営む大規模な多国籍企業グループに対し、法人利益、法人所得税の納付額、その他の関連情報の開示を求めるもので、その後の協議・修正を経て2021年11月にEU理事会により承認されました[1]。
EU加盟国は当該指令を2023年6月22日までに国内化することを要請されています。既に主要EU加盟国は国内法化を済ませ、その施行が徐々に開始している状況です。なお、国別報告書(CbCR)の開示を求める同様の法案は、EU 以外でも導入が検討されてる状況とされ、オーストラリアにおいては法案が公表されています。
本ニュースレターでは、CbCRの開示を求めるEU指令の内容を概説するとともに、より広範な開示が要求されているオーストラリアの法案の動向を説明します。
[1] Council of the European Union(2024年4月1日取得)
1. EUにおける公開CbCR
(1) 公開CbCR指令
EUにおける公開CbCR指令の内容は以下の通りです。
<開示対象となる多国籍企業グループ>
企業グループが以下の要件に該当する場合、CbCRを公開することとなります。
- EUに本社を置く多国籍企業については、連結売上収入が前2連続事業年度につき750百万ユーロ以上であること
- EU以外に本社を置く多国籍企業については、
ⅰ. 連結売上収入が前2連続事業年度につき750百万ユーロ以上であること
かつ
ⅱ. 中規模又は大規模子会社(又は同等規模の支店)がEUに所在すること
大規模または中規模子会社又は支店の定義は、
① 貸借対照表合計額が4百万ユーロ超であること
② 純売上収入が8百万ユーロ超であること
③ 平均従業員数が50名超であること
の3つの要件のうち2以上の要件を満たす法人又は支店となります。ただし、①又は②の基準はEUメンバー国が独自に決定することができるとされ、その基準は①については6百万ユーロ、②については12百万ユーロを超えることはできません。
<開示する情報等>
開示する情報は以下のものとなります。
- 最終親会社の名称、対象事業年度、使用通貨
- 事業活動の簡潔な説明
- フルタイムの従業員数
- 純売上収入
- 税引前利益又は損失の金額
- 当期法人所得税、法人所得税支払額
- 当該事業年度末の利益留保金額
- その他
開示情報は、それぞれのEU加盟国ごと、ブラックリスト国(EUの税務ガバナンス基準に非協力的な国)又は連続してグレーリスト国(EUの税務ガバナンス基準に協力的であるが、一部改善すべき事項が残っている国)となっている国[1]については、その国ごとに開示し、その他の国はまとめて開示することとされています。現状、ブラックリスト国及びグレーリスト国は20ヵ国余りです。
<開示方法等>
情報開示は一定の共通フォーマットにより行うこととなります。
EUの最終親会社、又はEUに最終親会社がない場合には各EU子会社又は各EU支店は、所在EU国のBusiness Registry及びそのウェブサイトにより必要な情報を開示しなくてはなりません。ただし、EUに最終親会社がない場合、その親会社が必要な情報をそのウェブサイトで開示し、EU子会社又はEU支店のうち一つの子会社又は支店がその国のBusiness Registryにおいて情報開示することにより、他のEU子会社又はEU支店の情報開示を省略することができます。
必要な情報は該当する事業年度の貸借対照表日から12ヵ月以内に開示しなくてはならず、少なくとも5年間は開示を継続しなければならないとされています。
一定の開示情報については、その開示がその企業にとって重大な不利益(seriously prejudicial)をもたらす場合には、最長5年間開示を延期することができます。ただし、企業側は開示が延期されている旨を公表し、その理由を示さなければなりません。開示を延期した情報については、延期期間経過後に開示しなければならないとされています。
(2) 国内法制化の状況
主要EU加盟国は既に公開CbCRの国内法化済みで、ほとんどの国において2024年6月22日以後開始の事業年度に適用されることとされています。なお、ルーマニアは2023年1月1日、クロアチアは2024年1月1日、スウェーデンは2024年5月31日以後開始事業年度から適用されることとなっていますので、より早期の対応が必要とされます。
2. オーストラリアの公開CbCR
オーストラリアにおいては2023年に公開CbCRに関する法案が公表され、その法案によれば、一定の多国籍企業に対してオーストラリアを含むすべての関係国につき、CbCRその他の情報開示を求めていました。さらに、国外に本拠地を置く多国籍企業も、オーストラリアの法人又は支店を通じて事業を行っていれば、同様の情報を公開しなければならないこととされていました。
しかしながら、EUの公開CbCRよりも広範な情報開示を求めていたため、ビジネス界からの批判が強く、2024年2月14日に当初より情報開示の範囲を狭めた法案に改定されました。原則としてEUの公開CbCRと同様の内容となっていますが、税に対するアプローチや、対象国での発生税額と法定税率との差異分析が含まれていることが特徴的です。
国ごとの開示対象国は、オーストラリアとオーストラリア財務省が指定した40カ国余りの国・地域[1](シンガポール、香港、スイスが含まれています。)となっていて、この点ではEUよりもより広範な対象国となっています。さらに、開示免除基準が新たに導入されましたが、オーストラリアの活動に係る所得が10百万オーストラリア・ドル(約10億円)未満の多国籍企業とされているため、この基準を満たさない場合、公開CbCRを作成しなくてはならないこととなります。
今後は、この改定案に対してパブリックコメントを募集していくこととなりますので、その動向が注目されます。
お見逃しなく!現状、EU及びオーストラリアの公開CbCRが注目されていますが、他にも公開CbCRの導入に向け検討を始めている国があると伝えられています。今後国際税務における主要な潮流となる可能性があります。各国がそれぞれ独自に公開CbCRを法制化すると、多様な公開CbCRが適用されることとなり、企業の事務負担が過重となることが懸念されます。統一的な公開CbCRのルール作りが望まれるところです。公開CbCRが導入されることにより、より広汎な利害関係者に税務情報が開示されることとなり、実効税率と実際税率の開差の説明、企業の税務に対する姿勢等が問われることになります。タックス・ポリシーの整備、税務に係る管理、内部統制の強化、見直しが必要となるかも知れません。 |
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[1] ブラックリスト国には、アメリカ領サモア、アンティグア等が、グレーリストには、アルメニア、ベリーズ等が掲載されています。詳細は下記のリンクをご参照ください。なお、2024年2月20日付でロシアがブラックリストに追加されましたのでご留意ください。
Council of the European Union, “EU list of non-cooperative jurisdictions for tax purposes”(2024年4月1日取得)
[2] オーストラリア財務省, “Exporsure Draft Part 2”(2024年4月1日取得)
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