国際相続・国際資産税

生前贈与も課税が強化

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生前加算期間が7年へ延長

2024年1月以降に行われる贈与から、相続税の生前贈与加算の期間が「3年から7年へ」延長されました。この税制改正の影響が生じるのは、2027年1月2日以降の相続(死亡)からです。2027年1月2日以降の相続開始から、経過措置により、生前贈与加算の期間が延長され、2031年1月1日以降の相続開始から「生前贈与加算期間が7年」になります。

贈与税は、暦年課税贈与(原則)と、相続時精算課税贈与(特例)の2種類があります。今回の税制改正では、2つの贈与制度の「選択制」は、引き続き変更ありません。また、今回の税制改正により延長した4年間にうけた贈与については、総額100万円まで相続財産に加算されません。

 

 

相続時精算課税の基礎控除創設

原則60歳以上である直系尊属(父母・祖父母)から18歳以上である子・孫への贈与については、暦年贈与との選択制で相続時精算課税制度が設けられています。直系尊属の相続税の計算上、相続時精算課税制度を選択した年分以降の贈与財産は、すべて相続税の計算に加算され、支払った贈与税がある場合には、相続税の計算において控除・還付されます。

相続時精算課税の贈与税の計算では、特定贈与者ごとに一生涯累計で2,500万円までを限度に特別控除されます。2024年1月以降の贈与には、現行の暦年課税の基礎控除110万円とは別に、相続時精算課税の基礎控除が毎年110万円まで新設されました。

 

生前贈与プランニングがポイント

イギリスの相続税も日本と同様に、7年間の生前贈与加算のルールがあります。ただし、相続財産に加算される生前贈与額は、贈与時期を遡るほど年々逓減されます。

一方、日本では、相続開始前7年間の生前贈与の合計額すべてが、相続財産に加算されるため、相続開始直前における相続税対策の選択の幅が、狭くなっています。

より早い時期からの相続税の対策や、相続人・受遺者でない=生前贈与加算対象でない「孫」を活用した“世代飛ばし”の資産承継対策など、ファミリー構成・財産内容などを考慮したエステート・プランニングがより重要になってきています。