今月の経理情報

中小企業が決算前において検討すべき事項

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3月は多くの法人が決算期を迎えますが、中小企業が決算前において、検討すべき主な税務事項について解説します。届出書・申請書の提出、資産の取得等には期限がありますのでご留意ください。

項目 内容 留意点

人件費関連

決算賞与

決算後に決算賞与を支払う場合、下記要件のすべてを満たせば通知日の属する事業年度に全額損金算入可能

① 同時期に支給を受けるすべての従業員一人ひとりに賞与支給額を通知

② 通知日の属する事業年度終了の日の翌日から1か月以内に全額支給

③ 通知日の属する事業年度に損金経理

  • 支給日に在職する従業員のみに賞与を支給し退職者に支給しない場合、未払賞与は全額損金不算入となる
  • 正規の従業員とパートタイマー、臨時雇い等を区分している場合は、その区分ごとに左記要件①支給額の通知を行ったかどうかの判定が可能

賃上げ促進税制

(中小企業向けの要件)

雇用者給与等支給額が前年度と比べ、

1.5%以上増加⇒給与等支給増加額の15%税額控除

2.5%以上増加⇒給与等支給増加額の30%税額控除

  • 適用事業年度の教育訓練費が前年度と比べて5%以上増加し、かつ適用事業年度の教育訓練費が雇用者給与等支給額の0.05%以上である場合、税額控除率を5%上乗せ可能
設備投資関連
少額減価償却資産

中小企業者等の少額減価償却資産の特例

取得価額30万円未満の資産の取得は、1事業年度300万円を限度に損金経理を要件に損金算入可能

  • 税抜経理方式の場合、免税事業者からの資産の購入は、消費税込みの取得価額で金額判定が必要
  • 常時使用する従業員の数が500人を超える法人は適用対象外
  • 償却資産税の課税対象
経営力強化税制

一定の特定経営力向上設備等を指定事業の用に供した場合

⇒ 即時償却または取得価額の10%の税額控除が選択適用

  • 経営力向上計画の認定と設備の事業供用を事業年度末までに行う必要があるため、決算間近の取得の場合、適用が受けられない可能性あり(申請から認定までの期間は1か月程度)
  • 貸付資産、中古資産は対象外
投資促進税制

中小企業者等が一定の機械等を取得し、指定事業の用に供した場合

⇒ 税額控除(7%※)または特別償却(30%)

※ 税額控除は資本金3,000万円以下の中小企業者等のみ適用可

  • 上記特定経営力向上設備と異なり、認定を受ける必要がないため、期末間近の設備投資であっても事業供用を行えば適用を受けられる
  • 貸付資産、中古資産は対象外

 

お見逃しなく!

翌期以降、会計処理の変更等を行う場合は、期末までに変更届出が必要なものとして、減価償却方法、棚卸資産の評価方法、有価証券の評価方法、簡易課税選択、簡易課税不適用の届出があります。

中小企業が決算前において検討すべき事項
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